あの頃にはできなかった会話

先日、久しぶりに、入居されているA様とお話しする機会がありました。
私がこの施設に入職して7年。A様も入居されてから4年ほどになります。

私は以前、施設の事務員として勤務しており、常に受付におりましたので、A様のご家族様ともお話ししたことがありました。
その頃のことをA様にお話しすると、
「息子のことを知ってくれている方に会えてうれしい」と涙ぐまれていました。
私のことは記憶から薄れてしまっているご様子でしたが、
亡くなられた息子様のことを語られる表情や言葉に、胸が締め付けられるような思いになりました。

ご家族様のことを知っていたからこそ、言葉が見つからなかったあの頃。
何かを伝えたかったはずなのに、そのまま時だけが流れてしまった。

「お互い古株になりましたね」

そうお伝えすると、その言葉をとても気に入られたご様子で、

「古株になっちゃったわ」

そう笑顔で返されるA様。

あの頃にはできなかった、こんな他愛もない会話。
今こうしてA様と穏やかに言葉を交わせることが、何よりもうれしく、幸せに感じられました。

福祉の仕事は、人を尊重する仕事だと思っています。
入居者様お一人おひとりの人生や思いに耳を傾け、その方らしさを大切にしながら関わっていくことが大切だと思っています。

それは、共に働く職員同士にも言えることだと思います。
大切なのは、『自分が正しい』と主張することではなく、一緒に考え、より良い解決策を見つけていくことです。
相手を萎縮させるのではなく、安心して相談できる関係を築く。
お互いを理解しようとする姿勢や、思いやりのある言葉を掛け合うこと。
その積み重ねが、より良い職場環境につながっていくのだと思います。

私自身も、入居者様やご家族様、そして共に働く仲間との関わりの中で、その姿勢を大切にしていきたいと思った日でした。